実は一割弱の事業所が健康診断を実施していない?実施しないとマズい理由

皆さまの会社では健康診断を実施されているでしょうか。

事業規模1000以上の大企業ならともかく、立ち上げたばかりのベンチャー企業、

10人以下の町工場となれば、法律で実施する事が義務付けられているのは判っても、

そこまで手が回らないというのが現状かもしれません。

’19年の厚生労働省の事業所調査・健康管理対策の実地調査によりますと、

過去一年間に定期健康診断を実施した事業所の割合は

86.2%となり、前々回(’12年度)の91%から大きく下回りました。

事業者側が実施し、従業員が受けなければ、労働安全衛生法の元に懲戒となる健康診断ですが、何故、受診率が低くなっているのか、その原因を探りたいと思います。

調査に答えてくれる事業所は余裕があり、健康経営に真面目な所

厚生労働省の事業所調査の内訳では、事業所規模が5000人以上~300人の大企業、

300人~50人までの中小企業、10~50人までの小規模会社に分けて調査しています。

大企業、中堅企業の健康診断の実施率が100%、受診率も9割強だったのに対し、

事業所規模が100人を切ると、受診率が8割を切るのが現状です。

パートタイマーが重要な会社の即戦力、主戦力となる業界が多いにも関わらず、

彼、彼女らに対する健康診断の、実施率の低さも目立ちます。

パートタイム従業員に対し健康診断を実施しているのは全体の6割、

正社員の半分近く

一日4~5時間働くパートタイマーに対してでも健康診断を行っている割合はさらに減り、

4割に満たないのが現状です。

これらの調査に答えてくれる事業所は、健康経営に真面目であるだけ救われます。

実施率が低い業界の中には、

サービス業が圧倒的に多く、次が卸売、小売となっています。

では従業員が会社の健康診断を受けられない、はたまた会社側が判っているが取り入れられない理由はどの様な所からくるのでしょうか。

休まれると困るジレンマ

事実上、会社が健康診断を行わない、もしくは会社が費用を負担したとしても、従業員が受けない理由は、以下の通りになります。
休まれると困るジレンマ
1:仕事のシフトが忙しすぎて、健康診断に行けない
2:会社指定の病院まで行く時間がとれない
3:会社の業績が傾いた、もしくは立ち上げてすぐなので福利厚生に予算がない
4:健康診断よりも人間ドックの方が良い

一番大きな課題となるのは、本来健康診断を受けなければいけない人間が休めない、休まれると困るポジションに居るという社会的ジレンマです。

’13年に、コンビニエンスストアのローソンでは、健康診断を受けない社員の賞与を15%カットする事を発表しました。

これは正社員に向けて発令されたものですが、コンビニの正社員といえば店長です。

店長が健康診断の為に休める程、時間があるでしょうか。

ローソンがいい例ですが、小規模事業所の所ほど、一人ひとりの責任が重く、健康診断にかける時間は、ないがしろにされてしまいます。

本来であれば、彼らの様な人材が一番に健康診断を定期的に受けて、体調管理に気を配らなければいけないのですが

『一番必要としている人に健康診断が活かされていない』というのが現状なのです。

健康診断の前には、半日絶食状態にしなければいけないのですから、長時間残業や暴飲暴食は禁物。

サービス業に実際の受診者率が低いのもこうした理由です。

では、ここまで健康診断受診が厳罰化された理由は、どの様な社会的背景があるのでしょうか。

雇用体制の複雑化が引き起こした従業員の病

事が動き出したのは、今から10年前、’08年の12月、大手ゼネコンの下請けで起こった事件です。

私自身もゼネコンで働いた経験がありますが、大手ゼネコンは下請けを使うのは当たり前で、

毎日の様に、違う電気工事設備会社や、土建会社の社員が大手ゼネコンの社名バッジをつけて現場に入ります。

彼らの福利厚生は下請け会社が行っているのですが、

下請け会社が、彼らをどの様な雇用体制で雇っているのかまでは、大手ゼネコンは知らされていません。

そんな中で起きた悲劇でした。

相模原市の土建下請け業者『トウキュウ総建』の男性労働者(48)が、作業中に吐血し結核に罹患していた事が判明しました。

この男性を送迎していた男性社員(30)は二次感染していた上、会社に報告しなかったのです。

一つ間違えばパンデミック(集団感染)になりかねない事態に陥ったこの事業所、何が原因だったかといいますと、この2人の男性に一度も健康診断を行っていなかったのです。

この会社、関東の大手ゼネコンの下請けだったのですが、何故発注会社に判明しなかったのかと言いますと、虚偽の健康診断実施日や病院名を記入した男性の就労カードを、

1次下請けの大手ゼネコンに提出し、自分の会社は三次下請けだったからだと言います。

結核で入院していた男性の雇用体制は、日雇いでしたが、’06年からずっと継続で働いていたというのですから、本来であれば健康診断は受けさせなければいけません。

これも『健康診断を受けるべき人間が受けられなかった』ケースです。

これらの事故は氷山の一角に過ぎないといっても過言ではないでしょう。

健康診断を受けなければ、事業所や従業員は処罰を受けるというのが、法律上の規定となっていますが、

実際、日本は、一番、健康診断をこまめに受けて活かして貰いたい人が受けられない状態だという事なのです。

アラーミー事務局

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